看護

精神看護と精神科看護

精神看護と精神科看護とは、どう違うのか?と考えたことはないだろうか。本記事では、筆者が調べた精神看護と精神科看護について記載します。

精神看護とは

筆者が調査したところ、精神看護という言葉は、残念ながら日本最大の看護系協会である日本看護協会でも定義されていないません。しかし、精神看護学という分野は存在しています。日本の看護系大学の学習分野には、成人看護学、母性看護学、小児看護学、老年看護学などと並んで、精神看護学があります。その際に、精神看護という表記がされています。メヂカルフレンド社出版の「看護学入門13精神看護」には、「精神看護は、精神障害者の看護だけでなく、広くすべての人の心の健康の維持・増進にかかわる看護を意味する」とされています。また、水野、岩﨑の著書「精神看護の看護過程」によると、「精神看護は、精神科看護、精神保健、リエゾン精神看護の3領域で構成される」とされています。

以上のように、精神看護は、精神疾患や身体疾患を抱える人だけでなく、すべての人に対する心の健康(メンタルヘルス)維持・増進にかかわる看護と言えそうです。

精神科看護

精神科看護については、日本精神科看護協会が「精神科看護」を定義しています。そちらによると、「精神科看護とは、精神的健康について援助を必要としている人々に対し、個人の尊厳と権利擁護を基本理念として、専門的知識と技術を用い、自律性の回復を通して、その人らしい生活ができるよう支援すること」と表記されています。

この定義からは、精神科看護の対象者は、「精神的健康について援助を必要としている人々」のように理解されそうですが、これには対象者をさらに定めた続きがあります。「精神的健康は単に精神疾患に起因するものだけではなく、人々が生きる過程で直面する多様な心の問題を含んでいる。よって、精神科看護は、精神疾患を有する人々にとどまらず、すべての人々を対象とする幅広い支援活動を意味している。」つまり、精神科看護も、精神看護同様に、対象者はすべての人々となっています。

まとめ

つまり、精神看護、精神科看護は、人や組織等によって捉え方が少し異なる、ものの、概ね同じ意味で使用されていました。精神科看護を精神看護に含めるという考えもありますし、精神科看護も精神看護と同様に広く捉えることも、間違いではないようです。

引用文献

看護学入門13精神看護 メヂカルフレンド社

精神看護の看護過程(水野恵理子、岩﨑みすず)サイオ出版

日本精神科看護協会 https://jpna.jp/nisseikan/define access 2023.07.13